ミドリ草BLOG

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擦り切れそうな人間関係摩擦と経営者のワガママ暴言に辟易としつつ自己嫌悪と闘いながら今日も自立を夢見て

「発表」の心構え②

 

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(「発表」の心構え① より)

 

実習当日、他のチームのプレゼンは素晴らしかった。

 

皆堂々としており、プレゼンターの説明は淀みなく、何故この講座に参加しているか甚だ疑問に思えた。しかし、そんな素晴らしいプレゼンであるにも関わらず、ダメ出し総攻撃は激しかった。

それもそのハズ、ダメ出し総攻撃こそがこの講座の本命である。

プレゼンテーション、特にプレゼンターは自分のトークのクセやダメなポイントを自分で認識できない。客観的に他社の意見を訊かないと修正出来ないのだ。

そんな中、我がチームのプレゼンは今でも夢に見る程凄惨なもので、緊張のあまり喋っている途中で何と「ゲップ」が出た。ハッキリと、しかも大きな音で。

前列でプレゼンを聞いていた参加者が空かさず「え!?マジ?ゲップしてるやん!」と、その一言をキッカケに会場が一気に爆笑の渦と化した。

チラリとチームメイトを見たが明らかに呆れ顔で、私は結局終始パニックのまま自分のプレゼンを終えた。苛酷極まりないダメ出しを覚悟した。

だが、ダメ出しは覚悟した程苛烈では無かった。企画内容がつまらないといった理由もあっただろうが、何より「ゲップ」というミスに関しては皆ノータッチだった。

 

全チームのプレゼンが終了した後、講師からの総評を経て優秀な企画案を出したチームが発表されたが、我がチームは予想通り最下位に終わった。

しかし、私は何故か”最も優秀なプレゼンター”に選ばれた。

 

「居るんですよねー大した事ない企画なのに勝っちゃう会社。そういう会社にはこんな”飛び道具”を持ってる人が居たりするので、皆さん気を付けてください。」

これが、講師が私に下した総評だった。

 

プレゼン中のミスで放った「ゲップ」が飛び道具…?。後程講師に話を聞きに行った際、ピリピリした会場の空気を一瞬で大きく変え、注目を集めた事が評価されたようだった。

「企画の内容なんて聞いててもつまらないでしょ?大体皆同じ事言ってるワケだし。でもそれを”聞いて”もらうようにするのがプレゼンターの役目なワケじゃん。その点では君が一番注目されたでしょ。」

 

自分が相手に話を聞いてもらうためには当然コチラに意識を向けてもらう事が必要になる。非常に単純で当たり前の話なのだが、相手が1人でも複数でも、この理屈は同じだ。そして、意識をこちらに向けさせるのに難しい技術や理屈は必要ない。簡単な事なのだ。

この体験をしてから、私の「伝えること」に対する意識は大きく変わった。

座学で教わった細かな技法の集大成よりも「ゲップ」一発の方が効果があるように、プレゼンターの技術は「簡単かつ単純」である。

 

  • 注目させる(意識をこちらに向ける)
  • 話を”構成”して自信を以て喋る

 

以上だ。

 

「伝える技術」を身に付ける方法

 

人前で話をするのに緊張しない人はいない。文書やメモと違い、”喋る”という行為の中では伝えなければならない内容を「推敲」出来ない。緊張状態の中では伝達ミスや言い忘れ、言い間違い等のエラーも発生する。1対1の会話なら、伝達内容をお互い確認し合う事も出来るが、集団の中での「発表」ではそれも叶わない。

この【緊張】【伝達エラーに対する恐怖心】こそ、発表が苦手と思われる大きな要因だ。

伝える技術を身に付けるのなら、この2つの要因を取り除けば良い。

 

第一に【緊張】を取り除く方法。

これには大きく3つの対処方法が考えられる。

 

・1つ目は【立って喋る】事。

立つ事によって視点が広くなる。全体が見渡せるようになれば、伝達対象者ばかりを見ずに済むようになる。あまりキョロキョロ視線を動かすと逆に怪しいが、視先を自由にできる事で緊張から多少解放される。

 

・2つ目は【動きを付ける】事。

多少オーバーなリアクションでも構わない。ちょっとした距離なら歩くのもOKだ。身体を自由に動かせる事で、更に緊張から解放され、更に動きによって意識をこちらに向けさせる事も出来る。

 

・3つ目は【大きな声で喋る】事。

自分の声は自分が一番聞いている。小さな声だと自信が無いように自分に聞こえてしまう。そうすると”ネガティブ”な思考が働くようになる。大きな声で話すことによって、自分の発言を自分が信じるように意識をコントロールするのだ。自信は緊張を緩和する絶好の材料だ。更にこちらに意識を向けさせることにも役立つ。

 

勿論これらには”慣れ”も大きく関係する。人前で発表する経験が多ければ多い程緊張しなくなる、所謂「順応」による軽減効果も大きい。発表出来るシーンがあれば積極的に活用したい。尻込みして機を逸するのは勿体ない。

 

第二に【伝達エラーに対する恐怖心】を取り除く方法。

 

これには「事前に話す内容を構成しておく」ことが最も有効だ。国語の授業で習った通り、「起・承・転・結」の順で構成すれば問題ない。例えば、

  • 起:発表しようと思った背景や出来事(目的)
  • 承:今現在の状態や課題(現状)
  • 転:改善案等発表の根幹、発表によって伝えたい事(展開)
  • 結:結果

という流れで構成する事を普段から意識して練習しておくと、1対1での会話でも伝達ミスは減り、コミュニケ―ションがスムーズになる。また、普段から練習しておく事によって急に発言を求められた時などにも効果を発揮する。

これも慣れといえば慣れだが、普段から意識しているのとそうでないのとでは格段に技術的な差が付く。

 

「伝える技術」によって実現できること

 

 プレゼンターとしての技術としては、細かい事を言えば無数にある。その辺りは書籍等にも詳しい情報があり、紹介動画もYoutubeで上がっている。これらを参照して自分の会話技術を磨くことは可能だ。

しかしながら、細かい技術を習得する前に「伝える」事は”技術””技巧”と言える程難しいものではなく、少し意識する事で誰でも簡単に上達するものだという「意識」が大切だ。

先述で紹介したものも、技術というよりは「心構え」に近いものだと思っている。

 

少しの「心構え」を持ち、「伝える」力を伸ばす事で自分の発言に自信が持てるようになる。集団生活をより良く改善するキッカケを作ることも出来る。自分の環境を自分の力でコントロール出来るようになる。

 

「伝える技術」とは、即ち自分に関係する周囲の環境や人間関係を良好に保ち、より”気持ち良く”生活していくための便利なツールなのである。