ミドリ草BLOG

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擦り切れそうな人間関係摩擦と経営者のワガママ暴言に辟易としつつ自己嫌悪と闘いながら今日も自立を夢見て

職場のフレグランス

3,000文字チャレンジ2回目

 

テーマは「フレグランス」

 

 ふだん職場では「ハラスメント」にビクビクしながら管理職として勤めております。

皆様は「スメルハラスメント」をご存じでしょうか?

有名なハラスメントなので知らない方は少数かと思いますが、改めて定義を確認します。

 

【スメルハラスメント (Smell-Harassment) 】

ハラスメントの一種で、臭いにより周囲を不快にさせる嫌がらせのこと。スメハラと略される。口臭、体臭だけではなく香りの強い柔軟剤などを不快に感じる人も増え、サービス業の就業規則に盛り込まれることもある。
香水や化粧品などのスメルハラスメントについては、「コスメティック・バイオレンス」という別の名称が用いられる場合もある。

 

 れんじつ様々な問題が起きますが、我が社ではまだ、この手の問題は顕在化していません。しかし世の中では結構沢山の方が被害に会われているみたいで….。

 

リサーチプラス「スメルハラスメントに関する調査」によれば、他人の「におい」が気になる頻度について聞いたところ「特に気になることはない(23.3%)」との回答は少なく、8割近い人が他人の「におい」が気になっていることが分かったそうです。

また、不満は「男性の匂い」に集中しており、「会社の上司(男性)(12.8%)」、「会社の同僚(男性)(11.8%)」「夫(8.8%)」という順で男性への不満を感じている人が多いことや、自分の「におい」で最も意識しているのは「口臭」である事も分かっています。

職場では自分の業務の他に色々と注意しなければならない事が沢山あります。例えば従業員のコンディションや勤怠、就労環境、コミュニケ―ション等々…。これに「におい」まで含まれるのですから、生きにくい世の中になったもんだと窮屈に感じる事もしばしば。

世の社会人の皆様は今の状況をどのように感じておられるのか…。

 

 ぐぅの音も出ないほど体臭がキツイ、衛生管理が全く出来ていない人はさておき、本稿では職場に於ける「におい」の問題に関して少し考えてみたいと思います。

 

日本語で「におい」を表す言葉は【匂い】【臭い】【香り】の3つがあります(英語圏では10もの言葉があるそうです)。

 

【匂い】は中立的な表現若しくは好ましい場合の表現で、未だ快不快が判明しない場合や好ましく感じられるもの、趣があるものに対して用いられます。

 

【臭い】は不快なものが対象です。「くさい」とも読むことが出来るように「下水」「ゴミ」「犯罪」など、好ましくないものに用いられます。

 

【香り】は【匂い】と同義で「高級感」が付加されます。また、【におい】という表記には「臭い」「匂い」という2つの意味が考えられますが、「かおり」には悪臭の意味が含まれません。

 

【スメル(Smell)】は元々ニュートラルな言い方であり(単に smell と述べられる場合は、あまり好ましくない臭いを指す傾向がるらしいです)、対応する日本語は【匂い】です。

スメルハラスメントは本来強い悪臭という意味である【スティンク(stink)】を使った「スティンクハラスメント(ステハラ)」が正しい言い方のように思います。

また、【香り】が英語で言う所の【フレグランス(fragrance)】に一番近い表現ではないでしょうか。

 

 らんざつに言葉の整理をしてみましたが、いづれの表現にせよ、「におい」は感じ取った本人が”主観”で決定するものです。「におい」を感じた人が自分の感覚に従って良いか悪いか、あるいは好きか嫌いかを判断し、表現を変えるのです。つまり”基準が無い”ものです。

自分にとっての「香り」は他人にとっての「匂い」若しくは「臭い」であるかもしれません。逆も然りです。

また、「におい」には強弱があります。これは「におい」を感じる人の鼻の性能が大きく関係します。(因みに私は頭が悪い分鼻の性能が少々高めで、結構離れた距離にいる従業員のハンドクリームの”臭い”にも敏感に反応します。そのハンドクリーム、決して「臭い」分類のにおいではないハズなんですが、私は昔から”バラの香り”が苦手です。私にとっては「バラの香り」は「バラの臭い」という表現になります。)

更に問題なのは、人は自分のにおいには鈍感に出来ているところです。

人は日常的にかいでいるにおいには順応してしまい、感じにくくなってしまいます。嗅覚以外の感覚でも順応は起こしますが、特に嗅覚は順応しやすいとされています。それは、危険を察知するためだそう。日常的に感じるにおいは危険とは言えず、危険ではないにおいへの反応を鈍くする一方で、それ以外のにおいへの反応を鋭くしているそうです。これが昨今の「スメハラ」という社会問題の大きな要因となっています。

 

このように、「におい」は感じる人の器官の性能に左右され、人によって快不快の基準が異なり、更に自分の「におい」にも鈍感である性質から、「スメルハラスメント」は非常に解決しにくい問題となっています。個人的には集団生活が基本の現代人にとっては”物理的”には解決不可能だと思われます。

 

 んん~…この悩ましい課題に我々はどう立ち向かうべきなのか…。

それは”普段からのコミュニケーション”にヒントが隠されています。先ほど「自分のにおいに鈍感なのは危険を察知する為の本能」といった説明をしました。という事は、普段からの周囲の人間との密なコミュニケーションで”危険ではない”と認識してもらえれば良いのです。

思い返してみてください。

ものすごく嫌いだ、苦手だと感じている人が発する「におい」に「いい香り」は少なくありませんか?逆に好感を持っている人が発する「におい」は「いい香り」である比率が高くありませんか?(個人的に特定の苦手なにおい(私ならバラ)は別です)

相対的に見れば「におい」は対象との「信頼関係」も大きく関係しています。つまり、普段から努めて周囲と”仲良く”していれば「スメルハラスメント」は発生しないのです。「パワハラ」とも関連しますが、我々は”言い方、伝え方、接し方”を大きく考え直さねばなりません。

 

そしてもう一つ。

 

「におい」を発する自分自身は身体や衣服を清潔に保ち、香りの強いものを身にまとうのを控える事、「におい」を受けとる側は、「におい」が気になった場合相手への伝え方を工夫する事。

朝晩の歯磨きや毎日の入浴は当然の事、喫煙者は紙タバコから電子タバコにシフトして「臭い」を抑えたり、香水や化粧品を使用する場合は化粧品売り場でのスタッフの意見以外にも家族や友人の感想を聞いて、その商品の香りの強弱を判定する事ができます。

口臭や体臭が気になる相手には、まず体調を気にかけている事を伝えてから気になる「臭い」を伝えてあげる方がダメージが軽くなります。「今日身体しんどいの?ちょっと○○のにおいが気になるんやけど…」とか。

香水がキツイ相手には、香水のふり方をそれとなく伝えてあげる等アドバイス形式で「臭い」の修正を試みる事ができます。

 

つまり、【気遣い】なのです。

 

 すべてにおいて、「お互いへの気遣い」が欠けると様々な問題を引き起こします。これば別に「におい」に於いてだけではありません。

言葉にすると簡単ですが、「気遣い」には工夫や努力、マナーの習得、勘所等々様々な要素や技術が必要になります。要は”頑張らなければ”気遣いは為すことが出来ないのです。

我慢したり努力するからこそ「気遣い」は尊ばれ、周囲との環境を『繋がって支えあう』良好なものに変えていくのです。

 

そんなお互いの【気遣い】こそが、職場の【スメル(Smell)】を【フレグランス(fragrance)】に変えるのではないでしょうか。