「メンドくさい」というモンスターへの対処方法
年に数回は必ず、「全くやる気がしない」日がある。
平時は、半ば機械がプログラム通りに動作するが如く定刻に起床し、出社準備を整え、気が付けば会社のデスクに座っている。
たまに通勤経路を変えてみる等の刺激を意識して自分に与えないと、本当にロボットになってしまいそうで注意が必要だ。
しかしながら、この「全くやる気がしない」日になると出社準備すらおそろしく「面倒」になり、脳裏に「ズル休み」の文字がチラつく。部下の顔も上司の顔も、想像するだけで”暗澹となりまさる胸の中”である。勿論出勤はするのだが、デスクに座っても一向に何もする気になれない。一挙一動全てにおいて「メンドくさい」モンスターに支配されている状態だ。
(果たしてこの問題は自分だけだろうか。他にも同じ経験をした人は居ないのだろうか。)
私の中で「メンドくさいモンスター」は非常に大きな日常のリスクであり、なるべくなら会いたくない、回避したい「トラブル」だ。
このモンスターのせいで過去、幾度となく苦い経験をした。
とにかく全てが面倒臭くなるので、通常出社してから当たり前のように行うであろうメールチェックやスケジュール再確認、手配や確認業務もすべて後回し。
つまり一日のスタート直後から”後手”に回る。
後手に回った状態がもう「メンドくさい」ので、何かと理由を付けて外出し、近所の喫茶店に逃げる。逃げてジャンプを読んでいる間に事態が進行し、深刻化する。社に戻ったときには大炎上している。
結果、キレた顧客や上司を相手に火消しをしなければならないので、余計「メンドくさい」事態になる。
1年に数日とはいえ、こんな事を繰り返していては信頼関係はズタズタになりかねない(というか決定的に信頼関係が破壊された場合もある)。
何とかこの「リスク」を回避できないものか……と自分なりに色々考えた。
「メンドくさいモンスター」はある日不意にやってくるもので、自分でも予測がつかない。つまり事前に対処できない。
難しそうなマインド訓練や、複雑なツールを使うような方法では「メンドくさい」状態では絶対に実行できない…。
そうして試行錯誤した結果、簡単なツールで、なんとか効果のある方法を見つけたので、以下に記そうと思う。
①とにかく逃げる
自分なりに「メンドくさいモンスター」が到来する日を分析してみると、切迫した仕事があったり、忙しくて首が回らない状態の日にはモンスターは訪れないことが分かった。どうやら緊張の糸が切れた後、例えば年度の変わり目や大きな仕事が山を越えた後に訪れる可能性が高い。
つまり朝一番から外すことができない緊急性の高いタスクがある日にはモンスターは訪れないが、少し暇になった日、仕事に余裕のある日に不意に訪れるという事だ。この特性に先ず着目した。
仕事に余裕があるのだから、朝一番から喫茶店(避難所)に逃避しても、直ちにトラブルにはなるまい。
なら何も考えず、モンスター到来日は朝イチから一目散、職場から逃げる。
面倒臭い職場環境から一旦離脱する。
卑怯なようであるが、これがモンスターを迎え撃つ大切な第一歩だ。期を逃せばその日は全てがグダグダになり、最悪な一日になってしまう。
私は経験則から避難時間を1時間と設定しているが、場合によっては伸長する。
とにかく逃避1時間少々という時間の中で、すばやく、しかも簡単な方法でこのモンスターを退治しなければならない。
②すべてを一旦「外」へ出す
解決方法はズバリ「書き出す」。これのみ。ノートとペンだけで出来る。
とにかく思いつくまま「メンドくさい」と思う事を書き出していく。少しでも面倒くさいと感じることがあれば全て書き出す。口うるさいクライアントへの電話確認や上司への報告、資料の作成メール返信等々…。
書き出すときのポイントとして、「メンドくさい」ことはページの左半分、一行につき1つづつ書くようにすると良い。
書くだけ書いて、もう出ないなと思った時点で第一工程は終了だ。
③理由を書きだす
つらつらと書き出した「メンドくさい」事の右側に、それぞれ対応した「メンドくさい」と思われる理由を簡単に書いていく。
1つの「メンドくさい」に複数の理由があってもいいし、文章が長くなってもいいので、とにかく思いつくまま理由を書いていく。
この時のポイントだが、理由を深く考えてはいけない。逆に、理由を書かないのはNGだ。何でもいいので全ての「メンドくさい」に理由を付けていく。
④優先順位を決める
「メンドくさい」事と、それに対応する「理由」が全て埋まれば、後は書いてあるものを眺めて今日処理するタスクを決める。どうしても手を付けたくないタスク且つ今日しなくても後日フォローできるものは、当たり前だが別に今日しなくても問題ない。
簡単に処理できる、若しくは締切が切迫しているタスクを優先して今日処理するものを決めていく。
以上の作業を、コーヒーを優雅に飲みながら1時間かけて仕上げる。
「メンドくさいモンスター」を退治するという事
上記①~④の作業をこなす事によって「メンドくさい」が解決するわけでは無い。
ましてやモンスターが綺麗さっぱり退治できるワケでもない。面倒臭いものは面倒臭いままだ。
しかしながら、上記手順を経る事によってモヤモヤした頭の中がクリアに整理される。整理されると気分も変わる。この「気分が変わる」が作業の目的だ。
「メンドくさい」理由を改めて読み返してみると、実は「大した事じゃない」事が多く、悩むほどの理由がない事に気付いたりもする。
あとは社に戻って優先順位に添って機械のようにひたすら処理していくだけ、である。
手順を経る事でその日の仕事量が可視化され、且つ順番も整理されている。
憂う理由は不思議と小さくなっている。
「メンドくさいモンスター」とはつまり自分自身であり、要は気の持ちよう、気分転換が一番有効な方法なのだ。